TOP > 対中ビジネスコラム > Q1.中国といえば安い工賃が魅力的だったが、最近上昇を続けている。
今後さらに高騰するのだろうか?
【ビジネスで1番よく使う中国語Eメール&SNS】
2021年9月発行
中国語でEメールを書くとき、SNSで交流するときにそばに置いておきたい一冊。
毎月月末に「中国労働契約法・労働紛争対策マニュアル」、
「中国投資・会社設立ガイドブック」、
「中国進出失敗・トラブル事例集」、
「中国ビジネス超成功戦術252」、
「中国ビジネスのツボ」
など多数の著作で知られる中国ビジネス専門家の筧武雄氏による【対中ビジネス最新コラム】を連載します。
中国経済は90年代から毎年2桁の経済成長を続けてきました。毎年1割の複利計算ですから、中国国民の所得水準もこれに応じて毎年一割の複利計算で「うなぎ上り」に上昇してきたわけです。80年代の北京、上海では月収100元台が普通でしたが、現在では2,000元台、3,000元台も当たり前です。
中国の労働組合連合会(「総工会」と呼ばれます)は、最低賃金を各地域平均所得の半額まで引き上げることを全体目標に掲げています。このように、国民経済が成長するにしたがって、人々の所得が上がり、生活が豊かになるのは当然のことですね。
われわれ外国人、外国企業にとってもうひとつ頭が痛いのが人民元レートの上昇です。
中国の輸出高は今や日本を追い越し、日本だけでなく欧米にとっても最大の貿易相手国となっています。輸出の伸びにしたがって人民元もカをつけ、米ドルに対してこの二年間で20%近くレートが切り上がっています。「元高」は中国の人件費だけでなく、原材料、エネルギーなどすべてのコストを加速的に引き上げていきます。
もはや、「コストの安い中国」という見方は根本的に変えたほうが良いようです。
しかし、同時にこれは「購買力のある市場の登場」、「ライフスタイル変化の激しい、需要の旺盛な新規マーケットの出現」という魅力をも意味しています。
さらにもうひとつ、忘れてはならないのが内陸部の農村の存在です。発展する都市部との格差は広がる一方で、ざっくり言えば、北京、上海といった沿海部大都市の所得水準が「全国平均の二倍」程度、農村部は全国平均の「3分の1」、すなわち「大都市の6分の1程度」にすぎません。実はその格差もさらに開きつつあります。
つまり一言で言えば、低コストの魅力がまだまだ残る内陸農村部と、旺盛な購買力の魅力のある沿海都市部と、ふたつのビジネスチャンスを併せ持つ大陸国家が中国なのだといえるでしょう。
これらの異なる魅力を、どうバランスよく効率的にビジネスに活かしていくか、どの都市、地域が今ネライ目か、最新の情報収集が欠かせません。中国語の習得を怠らず、常に最新情報を入手できる情報アンテナをより高く、より広く張ることが中国ビジネス成功への最短の近道です。
中国ビジネス・コンサルタント
1981 年 一橋大学卒業 横浜銀行入行。
1984 年 北京大学に派遣留学ののち銀行北京事務所開設、初代駐在。
1988 年 海外経済協力基金 ( 現・国際協力銀行 ) 派遣出向。
2001 年 銀行を退職し、独立。著書、雑誌連載等多数。
チャイナ・インフォメーションHP ブログ
主な著書
「中国との付き合い方がマンガで 3 時間でわかる本」
「中国ビジネス<超>成功戦術 252 」
「中国投資マーケティング戦略マップ」
「中国進出失敗・トラブル事例集」
「最新版中国投資・会社設立ガイドブック」(以上、明日香出版社)
「中国ビジネスのツボ」( 重化学工業通信社 )
「仕事の中国語 速習パック」(株式会社アルク) 等 他多数
次回5月は
「どのようにして行政部門との良好な関係を維持したらよいだろうか?」
というテーマでお送りします。
お楽しみに!