TOP > 対中ビジネスコラム > Q5.中国の国内販売では売掛金の回収はどのように行われているだろうか?
確実に代金回収のためにはどのようなところに注意すべきだろうか?
【ビジネスで1番よく使う中国語Eメール&SNS】
2021年9月発行
中国語でEメールを書くとき、SNSで交流するときにそばに置いておきたい一冊。
まず、品物を先に渡して、代金を後払いとする「掛売り」方式自体が中国では危険な信用取引の部類になります。
品物を手にしてしまえば、お金も支払わずに姿を消してしまう商人も少なくないからです。
あるいは、すぐに商品を転売して、その代金が入るまでは支払えない、売れた代金は株や不動産に投資している、などと言を左右にしてやたらに支払を渋ったりします。
逆に、売れ筋のヒット商品であれば、彼らは現金をバッグに詰めて自分でトラックを運転して買いに来ます。
そして半年もしないうちに、半額以下の価格で模倣品が出始めます。
中国には、日本のような「不渡り制度」がありませんから、小切手や手形で代金を受け取っても、銀行預金残高が足りなければ、手数料が請求されて手形小切手が返されるだけです。
中国には、銀行が支払を保証する手形(銀行承諾匯票)というものも存在しますが、残高オーバー、サイン印鑑の不一致、要件不備、偽造疑いなど様々な理由で支払が拒絶されてしまうこともあるため、これも実際にはあまり利用されていないようです。
小切手は比較的多用されていますが、不渡り制度が無いことから、同じ銀行手形交換所範囲内ですぐに連絡のつく近郊の顧客に限って使用されています。
ですから、まったく初めての未知の販売先に対しては、必ず現金と引き換え、もしくは前払いを前提条件とすべきでしょう。
世界最大のネット販売サイトとして有名な中国の「アリババ」も、商品納品と代金決済は当事者間が直接責任を持つシステムとなっていて、ネット会社は取引に一切関与しません。
取引実績ができ、銀行信用も問題ないとなれば、次回からは注文と同時に在庫を割り当てる、その次は半額前金で半額掛売り、最終的には全額掛け売り、というように段階を経て「顧客格付」の管理を行うことです。
実務上は5段階程度の顧客格付が多いようです。
ちなみに、前金2割、商品と交換で7割、検収後払い1割といった分割支払方法をとると、最後の1割が不払いとなってしまうケースが圧倒的多数、散見されます。
いったん商品が手に入れば、品質や性能にいろいろなクレームをつけてきたり、発票(増値税専用領収書)発行に難癖をつけて最後の支払を逃れようとするケースも多いようです。
なかには、変な材料を機械に投入されて機械性能にクレームを付けられ、損害賠償まで支払わされたというケースもあります。
このような分割払い条件をとらざるを得ない場合は、最初から納品後の残金が回収できなくても大きな損失とはならなくてすむ見積価格を提示するしかリスク回避の方法はないでしよう。
中国ビジネス・コンサルタント
1981 年 一橋大学卒業 横浜銀行入行。
1984 年 北京大学に派遣留学ののち銀行北京事務所開設、初代駐在。
1988 年 海外経済協力基金 ( 現・国際協力銀行 ) 派遣出向。
2001 年 銀行を退職し、独立。著書、雑誌連載等多数。
チャイナ・インフォメーションHP ブログ
主な著書
「中国との付き合い方がマンガで 3 時間でわかる本」
「中国ビジネス<超>成功戦術 252 」
「中国投資マーケティング戦略マップ」
「中国進出失敗・トラブル事例集」
「最新版中国投資・会社設立ガイドブック」(以上、明日香出版社)
「中国ビジネスのツボ」( 重化学工業通信社 )
「仕事の中国語 速習パック」(株式会社アルク) 等 他多数
次回9月は
「Q6.日本語が堪能で有能な中国人を雇用したいが、どのように人材を探したらよいか?」
というテーマでお送りします。
お楽しみに!