TOP > 対中ビジネスコラム > Q7.現地採用の中国人スタッフを解雇する際にはどのようなことに気をつければよいか?
【ビジネスで1番よく使う中国語Eメール&SNS】
2021年9月発行
中国語でEメールを書くとき、SNSで交流するときにそばに置いておきたい一冊。
中国は共産党を単独執政党とする社会主義、労働者の国です。労務管理については、日本とは異なる習慣や多くの法令規定が存在しますので十分な注意が必要です。
まず、中国では労働法(94年施行)にもとづき、公務員などを除いて、一般の企業正社員には、すべて「契約雇用」が義務付けられています。
そのほか、「非全日制雇用」と呼ばれるパートタイマー、アルバイト雇用制度もあります。
「非全日制」を除く直接契約社員を解雇する場合、契約期限で満期終止するケースと、契約途中で期限前解雇するケースに分けられます。
満期終止(言い換えれば契約満期不更新)とする場合は、「契約条件どおりの終了」ということで、トラブルに発展するケースはほとんどありません。
ただし、中国の労働契約法では労働契約の満期に終止できるのは初回更新の―回のみと定められており、二回目以降は、会社は労働者側の意向に従わなければならないとされています。
同時に、勤続10年以上の場合も契約更新時に会社は労働者側の意向に従わなければならないとされていますから、二回目の契約更新もしくは勤続10年目を迎える従業員がいたら、早めに事前の個人面談を実施して、本人の意向をよく開き、契約の更新条件について話し合う必要があります。
契約満期ではなく、契約期限前に会社都合でスタッフを解雇することは、中国語で「解除」と呼びます。
社会主義国である中国で、労働者が会社から「解除」されるということは、本人に何か問題があるため懲戒免職処分を受けた、という風にとらえられがちです。
これは本人にとって大変不名誉なだけでなく、再就職にも影響が出る場合もあるため、会社側としてはよほど慎重かつ万全に対処しないと、「不当解雇」として労働者あるいは支援する労働組合から訴えられる事態に陥ってしまいます。
労働契約法には、会社が労働者を解雇できる正当な事由が、39条(即時解雇)、40条(予告解雇)、4l条(人員削減)とそれぞれ定められていますが、むしろ注意すべきは42条に定められている「解雇禁止」人員で、以下のような状況に該当する人たちです。
状況が終了するまで、法律上で解雇することが禁止されています。
(1)職業病危害作業に従事している労働者に対し、離職前に職業健康検査が行われていない、または職業病の疑いで診断期間中、あるいは医学経過観察期間中の場合
(2)雇用企業等で職業病と診断され、あるいは就労中の事故による負傷で労働能力を喪失したり労働能力を部分的に喪失したりした場合
(3)病気あるいは業務で負傷し、規定された治療期間中の場合
(4)妊娠中、出産期、哺乳育児期にある女性従業員
(5)当該雇用企業等における連続勤務期間がl5年以上、かつ法定の定年退職年齢まで5年末満の場合
(6)その他の法律、行政法規規定に該当する場合
中国ビジネス・コンサルタント
1981 年 一橋大学卒業 横浜銀行入行。
1984 年 北京大学に派遣留学ののち銀行北京事務所開設、初代駐在。
1988 年 海外経済協力基金 ( 現・国際協力銀行 ) 派遣出向。
2001 年 銀行を退職し、独立。著書、雑誌連載等多数。
チャイナ・インフォメーションHP ブログ
主な著書
「中国との付き合い方がマンガで 3 時間でわかる本」
「中国ビジネス<超>成功戦術 252 」
「中国投資マーケティング戦略マップ」
「中国進出失敗・トラブル事例集」
「最新版中国投資・会社設立ガイドブック」(以上、明日香出版社)
「中国ビジネスのツボ」( 重化学工業通信社 )
「仕事の中国語 速習パック」(株式会社アルク) 等 他多数
次回11月は
「Q8.現地のトップに中国人を起用したい。注意すべきことはなんだろうか?」
というテーマでお送りします。
お楽しみに!