TOP > 対中ビジネスコラム > Q8.現地のトップに中国人を起用したい。注意すべきことはなんだろうか?
【ビジネスで1番よく使う中国語Eメール&SNS】
2021年9月発行
中国語でEメールを書くとき、SNSで交流するときにそばに置いておきたい一冊。
日本企業の多くは、海外拠点のトップに日本人、もしくは日本語が堪能な現地人を採用する傾向が強いようです。
その理由は、あくまでも本社との経営理念の一致、経営の意思疎通を最重視するためと思われます。
能力至上主義で実績があがらないトップはどんどん取り替える欧米企業とは対照的です。
特に中国の場合は、コストダウン製造目的のケースが多いため、日系企業の現地トップには技術エンジニアの方が就任しているケースも多いようです。
明らかに品質重視の生産管理のためですが、では、以上のような日本企業のニーズに応えうる適任な中国人トップが、中国にどれほど存在しているでしょうか?
・・・日本語能力だけを見ても、実に心もとないといわざるを得ないでしょう。
たとえいたとしても、コスト的に安くないと思われます。
このような現状から、「中国人トップ」といっても、現実には派遣された日本人総経理の補佐的立場に立って、主に中国政府当局あるいは中国取引先企業とのインターフェイス(中継)役、あるいは日本人スタッフの世話役や通訳として活躍しているケースが多いようです。
以上の点を総合的に考えると、中国人の理想的な現地トップに求められる資質とはこんな点でしようか。
(1)日本人の性格を理解し、日本のトップと信頼関係がある
(2)日本本社の経営理念、社風を理解している
(3)日本本社に知人、仲間が多く、日本とのコミュニケーションに通じている
(4)事業経営や製造販売業務に関する専門知識があり、日本語が堪能である
こういう風に考えると、優秀な中国人材を日本で採用し、日本本社で育成したのち中国現地に派遣することが正解のように思われます。
たしかに現地採用の場合は育成の時間的、予算的余裕もなく、優秀な人材から転職してしまうような結果になりがちですが、日本本社採用の場合は、そういった心配も少ないと言えます。
しかし、それですべて問題解決というわけではありません。
日本から派遣する中国人材については、逆に以下のような点に注意する必要があります。
(1)現地の言葉や習慣の問題(「広東工場であれば広東人」など、現地出身者に限る)
(2)待遇格差の問題(日本語だけでなく、必要な専門知識や技能が身についていること)
(3)本人の資質(経営者としての適性、資格、才能、性格、年齢など)
日本ではあまり見られませんが、中国では優秀な女性が経営管理職として活躍するケースも珍しくありません。
中国ビジネス・コンサルタント
1981 年 一橋大学卒業 横浜銀行入行。
1984 年 北京大学に派遣留学ののち銀行北京事務所開設、初代駐在。
1988 年 海外経済協力基金 ( 現・国際協力銀行 ) 派遣出向。
2001 年 銀行を退職し、独立。著書、雑誌連載等多数。
チャイナ・インフォメーションHP ブログ
主な著書
「中国との付き合い方がマンガで 3 時間でわかる本」
「中国ビジネス<超>成功戦術 252 」
「中国投資マーケティング戦略マップ」
「中国進出失敗・トラブル事例集」
「最新版中国投資・会社設立ガイドブック」(以上、明日香出版社)
「中国ビジネスのツボ」( 重化学工業通信社 )
「仕事の中国語 速習パック」(株式会社アルク) 等 他多数